もしものために、各ご家庭での防災用品の準備や、一時的に必要な分の食料・日用品の備蓄が求められています。
昨今、全国各地で地震や豪雨などの大きな災害が多発しているので、多くのご家庭で災害時の避難対策について考えられていると思います。
しかし被災経験がなければ、本当に必要なものが何なのかわからないことが多いです。また防災用品を調べて用意しても、被災した時に使えなければ意味がありません。
ここでは、避難生活を経験した人達や防災士の方が感じた、実際にはあまり役に立たなかった防災用品や、本当に必要な防災用品についてお話します。
被災者の経験から使うべきでない防災用品
もしもの事を考えて、あれもこれも用意をしておこうと考えると思います。ですが災害時に役立つと思われていても、実際にはあまり役に立たない、または使うべきではない防災用品がいくつかあります。
例えば、以下のようなアイテムが挙げられます。
■救助・避難用ロープ
救助・避難用ロープは災害時に非常に役立つことがありますが、使用するには適切な知識と技術が必要です。一般的には、ロープは被災後の復旧活動時にその必要性が高まりますが、災害直後では、とっさにロープを取り出して運用することは一般人にとってハードルが高いとされています。
防災用品としてロープを備える場合は、ブルーシート等の資材と組み合わせて運用することで、より実用的に活用できることが多いです。例えば、ブルーシートを固定する際にロープを使用することで、雨よけや風よけ、プライバシーの確保などに役立ちます。また、洗濯物を干す時に使うことができます。
ただし、ロープを使った救助や避難は専門的な訓練を受けた人によって行われるべきであり、未経験者が無理に使用すると二次災害を引き起こす危険性があるため、注意が必要です。災害時には、まずは自分の安全を確保し、専門家の指示に従うことが最も重要です。もしロープを防災グッズとして準備する場合は、その使い方を事前に学び、適切に使用できるようにしておくことをお勧めします。
■コンパス
一般的に、自宅や避難所への道のりを知っている場合や、スマートフォンのGPS機能が利用できる環境では、コンパスを使用する機会は少ないとされています。
しかし、スマートフォンの電波が届かない場所や、地図アプリが使用できない状況では、コンパスが方向を知るための重要な手段となる可能性があります。特に、未知の地域で避難する必要がある場合や、地形が複雑で迷いやすい場所では、コンパスが有効です。
ただし、コンパスを効果的に使用するには、地図読みのスキルや方位を理解する知識が必要です。また、災害時にはパニックになりがちなため、事前にコンパスの使い方を練習しておくことが推奨されます。
災害時の避難行動を支援するために、現在地周辺の避難所を自動検索してルート案内を提供するサービスも存在します。これらのサービスは、コンパス機能を含むことがあり、災害時に役立つ可能性があります。
■大量の水を必要とする食品
災害時には、水の供給が不安定になる可能性が高いため、カップ麺やインスタントラーメンなど大量の水を必要とする食品は避けるべきです。
水は飲用、調理、衛生のために必要であり、限られた水資源を効率的に使用することが重要です。また、災害時には食料品の備蓄が推奨されており、水を使わずにそのまま食べられる非常食や、少ない水で調理できる食品が適しています。これにより、水の節約と食料の確保が可能となります。
■使い捨てバッテリー
乾電池や充電器などの使い捨てバッテリーは、一度使い切ると交換が必要であり、長期間の停電や供給の途絶えが予想される災害時には、継続的な電力供給が困難になります。
そのため、使用後の使い捨てバッテリーはゴミとなります。 大量の使い捨てバッテリーが廃棄されると、環境への負担が大きくなります。災害時には廃棄物処理のシステムも正常に機能しない可能性があるため、問題がさらに悪化する恐れがあります。
また災害時には移動や避難が必要になることが多く、使い捨てバッテリーを大量に持ち運ぶのは非現実的です。また、必要な時に新しいバッテリーを入手することも難しくなります。
代わりに、充電式のポータブル電源やソーラーパネルと組み合わせた自家発電システムなど、持続可能で再利用可能な電源の準備が推奨されています。これらは災害時においても安定した電力供給を提供し、環境への影響も少なく、持ち運びや利用が容易です。
■不必要な衣類
災害時に心配なことは寒暖の問題です。寒い時用、暑い時用など考えると沢山の衣類を用意しなければなりません。また、避難時に衣類が濡れたり汚れたりすることがあるため、着替えが必要です。
ですが避難所ではスペースが限られており、大量の衣類を持ち込むと他の避難者のスペースを圧迫することになります。
また大量の衣類を持ち運ぶことは、避難の際の移動を困難にし、効率を下げる原因となります。
災害時には、必要最低限の衣類のみを持参し、避難所での生活を支障なく過ごせるようにすることが重要です。また、避難バッグには季節に応じて衣類を入れ替えることも推奨されています。
また災害時には、水がとても貴重なので洗濯をすることも限られます。衣類が濡れる可能性があるので、乾きにくい素材の衣類は特に避けるべきです。持参する衣類は、速乾性のある素材を選ぶと良いです。
■大きなテント
普段からキャンプをするご家庭には大きなテントがありますが、災害時には使えないことが多いです。
災害時にテントを収納場所から取り出せないこともありますし、自宅の敷地内が危険な状態であればテントを設営することも困難です。
避難所では限られたスペースを多くの人々が共有するため、大きなテントは他の避難者のスペースを圧迫する可能性があります。
大きなテントは重く、持ち運びが困難であり、緊急避難時に迅速な行動が求められる中で、運搬が非効率的ですし、大型テントの設営には時間と労力がかかります。
また一部の避難所では、スペースの有効利用のためにテントの持ち込みを禁止している場合があります。
災害時には、避難所での生活を考慮し、持ち運びが容易で、設営が簡単な小型のテントや、必要に応じてプライバシーを確保できる簡易的な間仕切りを用意することが推奨されています。また、避難所のルールや指示に従うことが重要です。
—————————
これらのアイテムは、状況によっては必要になることもありますが、一般的には優先度が低いと考えられています。災害時には、実際に必要となるアイテムを選ぶことが重要です。
災害時に必要とされる基本的な防災用品
災害時には、災害発生後の初期段階で自己支援を行うために、生存に必要な基本的な防災用品を備えることが重要です。
以下のものは基本的に必要とされている防災用品になります。
- 飲料水: 大人1人につき1日3Lが目安です。備蓄用は1週間~10日分、持ち出し用は最低3日分を準備しましょう。
- 食料: 備蓄用は1週間~10日分、持ち出し用は最低3日分の量を準備。調理が不要で、持ち運び可能、常温保存が可能で、賞味期限が半年以上のものを選びましょう。
- 医薬品: 救急セットを準備し、バンドエイド、包帯、ガーゼ、ピンセット、はさみ、消毒薬、常備薬、持病薬などを含めましょう。
- 防寒具: 防風、防寒、防水効果がある保温シートやレインコート、カイロ、ブランケットなどを用意しましょう。
- 装備品: ヘルメットや防災頭巾、手袋、マスク、運動靴、防災用ホイッスルなど身を守るための装備品を準備しましょう。
- 懐中電灯やランタン:懐中電灯は、特定の方向を照らすのに適しており、移動時や緊急時に手元や足元を明るくするのに役立ちます。一方、ランタンは置いて使用することが多く、部屋全体を照らすのに適しています。そのため、両方を適切なバランスで準備することが望ましいです。
- 生活用品:ウェットティッシュ、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、生理用品、おむつなど安い時に多めに購入しておきましょう。
家族構成やライフスタイルに応じて、必要なアイテムを追加することも考慮してください。
また、電気・ガス・水道などのライフラインを断たれた在宅避難時に役立つ防災用品として、以下のものがあります。
- 非常食: 水を注ぐだけで食べられるアルファ米や、温めなくてもおいしいレトルトカレーなどが便利です。
- 水関連グッズ: 持ち運びがしやすいポリタンクや、非常用食器折り紙などがあると安心です。
- ポータブル電源:モバイルバッテリーよりも大きな容量を持ち、より多くの機器を長時間にわたって使用できます。ポータブル電源自体も充電が必要ですが、ソーラーパネルや車のシガーソケットを利用した充電が可能で、災害時でも充電手段を確保しやすいです。
防災用品を用意する際に考慮すべきポイント
災害の規模、気候・気温、地域の環境、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染状況など、災害は一つとして同じケースがありません。
どれだけ準備をしていても完璧ということが無いと言えます。ですが、準備しているのとしていないとでは、災害発生時の対応能力や安全性に大きな違いがあり、生命危機に関わります。
ですので、以下のポイントを踏まえて、自分や家族の安全を守るために、適切な防災用品を準備しましょう。
- 避難の種類
緊急避難と避難所生活の両方を想定し、それぞれに必要な防災グッズを準備しましょう。緊急避難時は持ち運びやすく、必要最低限のアイテムが揃っていることが重要です。 - 防災バッグ
災害発生時にすぐに持ち出せる専用のバッグを用意しておくと安心です。背負ったときに両手が空くリュック型がおすすめです。 - セット用品の選択
防災用品を一から選ぶのは大変なので、防災用品一式をまとめたセット用品を選び、必要に応じてアイテムを追加するのが効率的です。 - 個人のニーズ
家族構成や年齢、性別に合わせて必要なアイテムを選び、特に子供や高齢者がいる家庭は注意が必要です。 - 地域の特性
住んでいる地域の気候や災害のリスクに合わせて、必要なアイテムを選ぶことが大切です。
以下のサイトでは、災害者の声をもとに防災士が厳選した防災グッズを取扱っています。一式揃えるのに良さそうですね。
◇地震対策30点避難セット:防災グッズ専門店|防災プロの地震対策SHOP
防災用品は定期的な点検と更新を忘れずに行うことも重要です。
まとめ
防災用品や備蓄品は家族が多いほど置き場所を取ります。ですので、本当に必要なもの、実際に役立つものを用意しておきたいですよね。
防災用品を準備しておくことにより災害時における生存確率を高め、心理的な安心感を与えてくれます。