現在ではメディアの多様化やオンデマンドにより、テレビもYouTubeなどの動画配信を、時間や場所の制限を受けずに、自分の見たいものだけを見られるようになりました。若者だけでなく中高年にも、動画配信サービスの利用者は多くいますし、一日一度はYouTubeを見ているという人もいるでしょう。
ですが、中高年の青春時代をいろどっていたのは『ラジオ』で、今でも根強い人気があります。『ラジオ』といえば「オールナイトニッポン」など深夜ラジオを聴きながら勉強をしていた。ラジオを聴きながらドライブに出掛けるのが楽しみだったなど、青春時代の思い出とともに蘇ってくるのではないでしょうか。
ここ最近では、新型コロナウイルスによる不要不急の外出自粛やリモートワークなど自宅で過ごす時間が増えたことで、ラジオを聴く人が世代を問わず増えているそうです。
中高年にこそ知ってほしいラジオ聴取法
かつては、少しでも電波の良い状態で聴くために、CDラジカセを抱えてチューナーとアンテナを駆使し、お気に入りのラジオ番組を聴いていました。ラジオ番組に、ハガキを書いて送ったこともあるのではないでしょうか。懐かしいですね。
今はそんな苦労をせずに、インターネット経由でラジオが簡単に聴ける時代になりました。しかも、聞き逃した番組を後から聞くことまでできます。
パソコンやスマートフォンなどに、ラジオのアプリをダウンロードするだけで、全国のラジオ番組のほとんどを聴取することができます。
番組名や出演者名で検索することができるので、チューナーを合わせて探す必要はないのです。
代表的なアプリは「radiko」「NHKラジオ らじる☆らじる」「Podcast」があります。
◇ラジオ各アプリ詳細・ダウンロード
■ radiko
■ NHKラジオ らじる☆らじる
■ Apple Podcast(iPhoneやiPad)
■ Google Podcasts(Android携帯)
また、SNSとの連動でラジオ番組を聴いている最中に、ラジオの感想やラジオパーソナリティの問いかけに答えることができるようになりました。
ラジオを聴いていると「#(ハッシュタグ)○○でTwitterに投稿してください。」とパーソナリティが言っていますよね。
このようにリアルタイムで繋がることで、パーソナリティと個リスナーだけの聴取にとどまらず、同じ番組を聴いているリスナー同士のコミュニティも広がっています。
もちろん番組感想や質問、リクエスト曲などハガキでの受付も行っていて、SNSをやっていない人でも楽しく聴取できます。
ハガキでの投稿は固定ファンの方が多いので、パーソナリティがハガキを読み上げる声のトーンに感謝の思いが一層大きく、大切にしてくれているのが伝わってきますよね。
インターネット経由のラジオ聴取により、聴く時間や場所の概念も広がりました。
家事をしながら、仕事をしながら、運動をしながらなど「ながら」聴取や、リラックスタイムの就寝前や入浴中、外出先などいつでもどこでもラジオを楽しむことができるようになりました。
一方、災害時などはやはり従来のラジオ機器は欠かせません。停電時でも電池で長時間稼働するラジオ機器は、テレビやインターネットが使えない状況でも情報を得られます。
ラジオパーソナリティとリスナーの絶妙な距離感
中高年のリスナーは長年、同じ番組を聴いているといった根強いファンが多いのが特徴です。
「このラジオ番組を聴きながら○○をする」といったように、生活の一部にラジオが自然と溶け込んでいる人も多いようです。日中のラジオを聴いていると、「私は長距離トラックの運転手ですが、毎日○○を楽しみに聴いています。」のような投稿もよくありますよね。
また、このラジオ番組を聴くと週末を感じられるといったように、平日と休日、時間帯、その時々の丁度いい内容なのがラジオではないでしょうか。
曜日、時間帯に合ったパーソナリティが番組を持っているのもありますが、例えば、平日のお昼には午後も頑張ろうと思えるような明るい番組でしたり、週末には休日を満喫できるような番組が早めの夕方に放送され、ビールを飲みながら聞きたくなったりします。
番組内で流れる曲もその日の陽気などに合わせた選曲など、気分にピッタリな曲が選ばれています。
テレビやSNSもいいですがラジオとの違いは、パーソナリティとリスナーの絶妙な距離感ではないでしょうか?
テレビ番組は様々な制約も多いですし、多くの制作者や出演者もいるので、出演者一人がプライベートなことを話す機会はほとんどありません。また、SNSは直に繋がれるとはいえ、有名人になるほどアンチも増えるため本音が言えなくなります。
ラジオの場合、リスナーはパーソナリティのファンや番組内容のファンなど好意的な人達ですので、パーソナリティの生の声、本音を聞くことができます。最近ではラジオで結婚報告をしたり、時事ネタへの思いが語られたりします。
また、リスナーからのコメントにも共感を覚え、気付きをもらうこともありますよね。
様々なメディアのなかでも、パーソナリティを中心に、リスナー同士のコミュニティ力が強いのがラジオの特徴といえるのではないでしょうか。
ラジオを聴くと想像力と聴力が活性化する
ラジオは言わずと知れた「耳からの情報」だけですので、聴く側の想像力が必要となります。「ながら聴き」だとしても、自然と想像をして聴いているのです。
ラジオが想像力を触発することは、脳にも良い影響が起きているそうです。
脳科学者 加藤 俊徳医師監修のもと、大学生8人に1ヶ月間、毎日2時間以上ラジオを聴いてもらい、その前後でMRI脳画像を比較、分析する実証実験が行われた結果ですが、
『イメージを記憶する力』が強化
【結果2】8名中4名が、聴く力を司る聴覚系脳番地が成長。活性エリアは最大で2倍に拡大。
「聴く力」が強化
◆参照:ラジオを聴き続けると、脳が成長することを世界で初めて実証。|radikoより
「ラジオを聴く」という行為が、脳の成長に有益な働きをもたらすことを実証されました。
また、「ラジオは脳にきく」の著者でもある脳神経外科医の板倉徹氏によると、
(光トポグラフィとは、近赤外光を使用して前頭葉の血流量の変化パターンを可視化する検査)
◆参照:脳を鍛えたければ「ラジオ」を聞け!|東洋経済より
とあります。
テレビが普及する前は、娯楽もラジオからでした。ラジオから流れてくる落語や野球中継なども、想像しながら楽しんでいたのです。
これは能、狂言、歌舞伎など日本の伝統芸能にも置き換えられることで、細かな描写がされていなくても、空間を想像するということが日本人の感覚に根付いていたのですね。
まとめ
ラジオを聴く理由は楽しむため、暇つぶし、情報・知識を仕入れるなど人それぞれですが、ラジオを聴くことでパーソナリティや、リスナー同士のコミュニティが心の拠り所になり、また脳や聴力が鍛えられるとあれば、これからもっとラジオを聴取していきたいと思いますね。
最近ではスマートフォンやパソコンで目に疲労を感じる人も増えています。目を休めるためにも、ラジオを楽しむ時間を増やしてみてはいかがでしょうか。