良い介護付きホームとはどんなホームでしょうか?ホームページやパンフレットだけでは分からない、「本当に良いホーム」に出会う方法をお伝えします!
良いホームは自分に合うホーム
誰にとっても良いホームというのは存在しません。ご自身の生活スタイルや価値観、日課やこだわり…ホームに入居した後もそれらが叶えられるかどうかが大切なポイントです。
例えば食の好みへの対応や外出・外泊の自由度、日中の過ごし方やお風呂の頻度など、集団生活の場では意外と制限がついて回ります。全て希望どおりに叶えることは難しくても、毎日の生活の中である程度入居者の要望に柔軟に対応してくれるホームであれば入居後もストレスなく過ごせるでしょう。
まずはご自身の中で譲れないと思う事に優先順位をつけて明確に整理しておきましょう。
見学に行こう!どこを見る?
見学はホームの実態を確かめる大切なステップです。ホームページや資料請求で気になるホームを見つけたら、必ず複数のホームの見学に行きましょう。比較しないとわからないこともたくさんありますし、見学を重ねていくうちにホームを見る目も養われていきます。
~見学の時はここをチェック~
①建物の雰囲気や設備
①建物の雰囲気や設備
玄関に足を踏み入れた時の第一印象は大切です。明るく開放的で、清潔感があるかどうか。また対応した職員の雰囲気もしっかりチェックしましょう。居室の日当たりやトイレ・洗面台・エアコンなど備え付けの設備、ナースコールの有無や照明の明るさなども確認しておきます。共有部分のリビングダイニングやお風呂の設備も、実際に使うことをイメージしてみましょう。全体的に自然と部屋から出たくなるような雰囲気であるか、暗く汚れたところはないか、あまり人目につかないところも綺麗に整えられているかが大切です。
②職員や入居者の表情
経験や技能も必要ですが、良い職員はコミュニケーションを大切にし、常に想像力を持って働いています。言葉遣いや声のトーン、入居者に話しかけるときの表情などをよく見てみましょう。職員間でもお互いに敬意をもって接している職場は働きやすく連携もとれていることが多いです。
実際に入居している方の表情はどうでしょうか?不安そうな暗い顔をしていませんか?毎日を安心して楽しく過ごしていれば自然と表情も豊かで明るくなります。また、入居者の服装や髪型がきれいに整えられているかもポイントです。普段から細部に心を配っているかどうかが分かります。
③食事やレクリエーションの様子
食事は毎日の生活の中で大きな楽しみの一つと言えるでしょう。病気や飲み込む力に合わせた食形態への対応の他、旬の食材を使い季節感を意識しているか、食器にも気を配っているかなども大切です。食事の時の雰囲気も見ることができるといいですね。大きな食堂で賑やかに集まって食べる所や、少人数で和気あいあいと食べる所などホームによって様々です。また、居室で食べたい時には配膳してくれるかどうか、食事をキャンセルしたい時に柔軟に対応してくれるかどうかなども大切なポイント。居室配膳やキャンセルなどは料金が発生する場合もあります。ホームごとにルールが異なるので入居前に確認しておきましょう。
レクリエーションはどんなものがどれくらいの頻度で行われているでしょうか。ホーム内で職員が開催するものや、外部の先生を呼んで行うもの、また外出するものなど様々なものがあります。興味が持てそうなものや楽しくできそうなものがあると毎日の生活にもハリが生まれますね。参加できる条件があるのか、イベントによっては料金が発生することもありますので合わせて確認しておきましょう。
④ケアや看取りに対する体制
介護付きホーム(特定施設)は人員配置として入居者(要介護・要支援2)3名に対して介護・看護職員1名を配置することとされています。しかしこれは常に3:1の割合で職員が勤務しているということではなく、職員の総数を常勤で換算した際の割合になります。実際に日中・夜間はフロアに何人常駐しているのか、曜日や時間による違いや介護・看護以外の職種も把握しておきましょう。理学療法士・作業療法士などリハビリを担当する職員が常駐していれば安心してリハビリを受けられるのではないでしょうか。
また、最期までホームで過ごすことができるよう看取りに力を入れているホームも多くなっています。納得のいく最期を過ごせるかどうか、ホームとしての看取りに対する考え方や姿勢が重要です。医療ケアの必要性が増えてきたとき、対応できる体制が整っていないと入居を続けることが難しくなるケースもあります。看護師の勤務体制や対応可能な病状、病院との連携の取り方はホームによって差がありますので入居前に必ず確認しましょう。
⑤施設長の人柄
ホーム全体の方向性や雰囲気は施設長の人柄によって大きく左右します。運営において重要視していること、入居者との関わり方や職員との関係性をどのように作っているかなど…施設長の考え方は職員に大きな影響を与えることから、サービスの質に直結します。見学の際施設長と会う機会を設けてもらい、信頼できる人かどうかを見極めましょう。
料金は意外な所にかかります!
介護付きホームの料金には「入居一時金」と「月額料金」があります。金額は地域や設備・運営母体によってかなりの差があり、単純に金額だけで良し悪しは図れません。金額とサービスのバランスをみて、納得のいく料金か、無理なく払えるかどうかを考えましょう。
入居一時金は初期償却と償却期間がポイントです。入居時に家賃の前払い分として支払うことで月額料金が抑えられる仕組みです。しかし仮に入居したホームが合わず、数か月・数年で退居する場合もあります。その際にどの程度返金されるのか必ず想定しておきましょう。初期償却の額が大きすぎたり、明らかに返金額が少ない所はおススメできません。
また、入居一時金を設定していないホームもあります。最初に大きな出費がかからないメリットはありますが、その分月額料金が高く設定されています。想定される入居期間や入居者の状況なども踏まえて最適な料金プランを決める必要があります。
しかし納得して入居したつもりでも、実際の請求書を見ると思いのほか高いと感じることがあるかもしれません。一般的に表記されている「月額料金」の他に「有料サービス」やおむつ代、日用品など月額料金に含まれないものがあります。介護付きホームはサービスの幅が広く個々のニーズに細かく対応してくれる分、別途料金を設定していることが多いので、どんなことが「有料サービス」にあたるのか、月額料金に含まれないものは何があるのか必ず事前に確認しましょう。同じ介護度の入居者が実際にいくら支払っているか、具体的に詳しく教えてくれるホームであれば料金もイメージしやすく、入居後こんなハズではなかった!と後悔することもないでしょう。
確認必須!退居のこと
入居する時から退居のことを考えるのは難しいかもしれませんが、トラブルの元となりやすいのが「退居の要件」です。
認知症の悪化や病気の進行、医療ケアの増加など、どのような状況で退居の必要が出てくるのか必ず確認しましょう。ホーム側から退居を求めるケースは、入居者や家族にとって、苦しい選択を迫られることになります。過去に退居になった状況など曖昧にせず丁寧に説明してくれるかどうか質問してみてください。どんな状況でも安心して入居していただけるようどこまで努力をしているか、ホームとしての覚悟が見えてくると思います。
また、退居時の費用も確認しておきましょう。原状回復のための費用やルームクリーニング代など費用負担があるのかどうか、引越や不用品処分の手配など手伝ってくれるホームもあります。
誠実さにかなうものなし
介護付きホーム選びは建物の立地や設備だけでなく、ケアやサービスの内容が重要になってきます。その分、チェックする項目も多く判断も難しいと感じるでしょう。しかし終の棲家として自分自身の望む暮らしを叶えることができるホームかどうか、しっかりと見極めてほしいと思います。
共通して言えることは、ホームの良いところだけでなく課題といえるようなところも率直に話してくれるかどうか、そしてどんな質問に対しても丁寧に真摯に答えてくれるかどうかに尽きるでしょう。入居中には様々な事が起こります。どんな時も誠実に親身になって対応してくれるホームであれば安心です。問い合わせや見学・体験入居等を通じて感じたことをしっかり整理して自分自身にとってより良いホームを選びましょう。
おわりに
始めにも述べましたが、誰にとっても良いホームというのは存在しません。また、100%満足のいくホームに出会うことも難しいでしょう。まずは自分自身の望む暮らし・望む生き方を考え、優先順位を整理することからホーム選びは始まります。そして入居後の生活を左右するのはホームとの信頼関係です。最期の時まで自分らしく生きるために、介護付きホームを人生の新たなパートナーとして信頼しあえる関係性を築いていきましょう。