仕事に就いている人でも親の事情で突然介護が必要になることがあります。
親はもちろん大切ですし仕事を続けることも大事と考える方へ。
急に仕事をやめて困った事態になることも避けたいですね。
介護と仕事を両立できるでしょうか。その為に必要なこととは?
できるだけ負担なく親も仕事も守る両立のポイントを詳しく解説していきます。
親が急な病気やケガで入院。退院後今までと同じ生活ができるかどうか?どうしたらよい?
・まずは、心身の状態を確認しましょう
病気やケガの回復の目途や今後予想される変化、退院後に日常生活をおくるうえでの注意点やできることとできないことなどを、主治医や看護師・リハビリの職員に相談してみてください。
入院前と同じ状態で退院できるとは限りませんし、退院してしばらくは体力も低下しています。
特に日常生活に必要な基本的な動作について、よく確認しておきましょう。
・退院後の生活を考える
退院後、自宅に帰るのかどうか、また自宅で生活の手助けができる人がいるかどうかご本人の希望も聞きつつよく相談しましょう。
生活にサポートが必要な場合、介護サービスを受けて自宅で過ごすのか、または施設を探すのかなど、選択肢はたくさんあります。
心身の状態や家族の状況を踏まえて、ご本人にはもちろんご家族にとっても無理のないよう考えることが大切です。
病院の医療ソーシャルワーカー(※)は医療や介護の知識も豊富で、介護サービスや施設の相談にものってくれます。積極的に相談してみましょう。
・介護サービスを受けたい!となったら…
住んでいる市町村に介護保険の申請をします。入院中でも病院で認定調査を受けることができます。
介護認定がおりるまで少し時間がかかりますので、早めに申請を出しておきましょう。
介護認定の有効期間は申請日にさかのぼるので、認定前でも介護サービスを受けることができます。
自宅で介護サービスをうけるとき、重要なのがケアマネージャーの存在です。
市役所や地域包括支援センター、居宅介護支援事業所などに相談をし、ケアマネージャーを決めましょう。
仕事との両立のために大切なこと
急に親の介護が必要になったとき、子の年齢は40~50代がほとんどで、多くの人が仕事を持っていると思います。
「介護離職」という言葉もよく耳にするこの頃、仕事と介護の両立に悩む人もたくさんいるのではないでしょうか。
心身ともに負担が大きくなってくると、退職して介護に専念したほうがいいのでは?
と思い退職する方も少なくありません。でも、介護はいつまで続くかわからないなか、無収入の日々が続き、再就職も思うようにいかず後悔するケースも多くみられます。
むしろ精神的・肉体的・経済的に負担感が増したと感じる人もいるようです。
後になって後悔しないために、どうしたら介護離職を避けられるか、仕事との両立のために何が必要か考えましょう。
両立のためのポイント
・早い段階で職場に現状を伝え、相談しておきましょう。
上司や同僚に、親に介護が必要になったことを伝え、休みを取ることがあるかもしれないとあらかじめ言っておきましょう。
普段から仕事の情報を共有しておくようにすると、急に休みを取らなくてはならない時も仕事に支障が出にくくなります。
・支援制度を活用する
仕事と介護の両立を支援する法律として「育児・介護休業法」 があります。
職場で利用できる休業制度や介護に関するサポート等を確認しておくとよいでしょう。
介護と仕事の両立には、職場の理解が不可欠です。
迷惑をかけるのが心苦しいと思うこともあるかもしれませんが、親の介護の問題は決して他人事でなく誰にでも起こりうる問題ですし、中にはすでに介護を経験した方もいるかもしれません。
日頃から相談しておくことで、周囲の理解も得られやすくなります。
急に始まる介護生活はストレスもたくさん。乗り切るためには?
・介護は「チーム」で!
家族(主介護者)だけで全てをまかなうのではなく「チーム」で行うことを意識しましょう。
特に入浴や排せつ、食事などの身体介護はホームヘルパーなど介護の専門職に任せることで負担はぐっと減らせます。なるべくたくさんの人を巻き込み、様々な事を分担して行うとよいでしょう。
・様々なサービスを利用する
介護サービスにはいろいろな種類があります。また、介護保険外のサービスや民間のサービスにもさまざまなものがありますので、ケアマネージャーとよく相談してみましょう。
うまく使い分けたり組み合わせることで、ご本人も家族も安心して過ごすことができます。
・自分の時間を確保する
介護が始まると、自分の生活のほとんどを介護に費やすような日々になってしまいがちです。
自分一人で全てを抱え込んでいると、精神的にも追い込まれてしまい良いことは何ひとつありません。
終わりの分からない介護生活とうまく付き合っていくために、意識して自分のための時間を作りましょう。
介護は家族でやるのが当たり前…。と考える人は今でも少なくありません。
でも、本当に大切なのは介護を受けるご本人とその家族が安全で穏やかに過ごせることです。
介護を担う家族が負担をかかえてしまっていたら、介護を受けるご本人はとてもつらい気持ちになってしまいます。
友人や専門家など様々な人に相談し、第三者が関ることが大切です。
在宅での介護だけがベストとは限りません。施設への入居も視野に入れることで道は広がります。
実務は専門職に任せ、家族はご本人の精神的サポートに回るようにするとご本人、家族、そしてサービス提供者との間でとてもよい関係性が築け、チームで介護生活を乗り切っていけると思います。
介護が必要になる前に… 事前の準備が大切!
・元気なうちに家族や兄弟で親の介護について話し合っておく
まだ元気なうちは、なかなか介護の話はしにくいものです。
でも、事前に話し合いをしておくことで、突然介護が必要になった時も慌てずに対処することができます。
本人がどこで暮らしていきたいか、だれと暮らしたいか、どのような介護を望んでいるか、また、介護に使えるお金がどれくらいあるのかなど、家族の中で共有しておけば、家族間でのトラブルも起こりにくくなります。
・介護に関する相談窓口を把握しておく
居住する地域の地域包括支援センターがどこにあるか知っていますか?
市町村など介護についての相談窓口の場所や連絡先を把握しておきましょう。
・介護保険制度やサービスを理解する
まだ介護が必要でない状況では、なじみの少ない介護保険制度や介護サービスですが、いつ「その時」がやってくるかはわかりません。
知識があればそのぶんだけ、かかるストレスは少なくなります。
介護は情報戦ともいわれています。
介護が必要な方・介護を担う方に密接にかかわる介護保険とサービスを今から少しずつ理解し、いざという時に備えましょう!
まとめ
急な介護に直面すると、何から手をつけていいのか分からずパニックになってしまう人も少なくありません。事前に情報収集をしておくだけでもずいぶんと心に余裕が生まれます。
いつ始まり、いつ終わるのか分からない介護生活は、いかに「楽にできるか」が重要です。
決してひとりで抱え込まず、いろいろな人に相談してみましょう。
様々なサポートを活用し、介護する家族の生活も仕事も守っていきましょう。
この記事を書いた人
鈴木 美幸
「ラッパーズ太田 介護支援専門員」
同法人(医療法人三省会)の老人保健施設、居宅介護支援センター勤務を経て、R2年2月にラッパーズ太田へ異動。
安心感のある人柄で入居者様やご家族様に信頼され、介護支援専門員として入居者様主体のケアマネジメントや多職種とのチームワーク形成などに日々尽力しています。