難しいイメージの介護食。手作りだと調理が難しそうと考えてしまいます。やり方を知れば、難しくなく工夫次第で簡単に作る方法があります。
今回は、在宅で介護を頑張っているご家族に、管理栄養士さんおすすめの簡単な介護食作りのポイントをご紹介いたします。
そもそも介護食とは?
介護食とは、加齢や病気などによる機能低下などが原因で噛む力・飲み込む力が弱くなってしまった方の為に、その方に合わせて「食べやすく」工夫された食事のことを言います。
安全を考えると難しい
噛む力・飲み込む力が弱くなってしまった方が、硬い食材のものや粘りの強いものなどを無理して食べると、窒息や誤嚥の原因となり危険が伴います。
また、食べる意欲や楽しみが低下すると、適切な栄養の摂取も難しくなります。
その方の状態に合わせた形態の食事を作り、美味しく楽しく食べられるようにしましょう。
まずは現状を知る
最近なんだか食事を残すことが多くなった・・・。
食が進まないように見える・・・。
食事の時に元気がない・・・。
食事中にむせこむことが多くなった・・・。
ご家族にそんな様子が見られたら、体調・義歯の状態・食事の環境の確認とともに、食事の形態も見直してみましょう。
お肉やほうれん草などの葉物野菜など、繊維の多いものを食べずらそうにしていませんか?
ご本人みずから「硬くてたべられない」「噛みきれない」と言えず、我慢して食べていることも多いのでよく様子を見てあげてください。
どの程度の「大きさ」「柔らかさ」であれば食べられるのか、把握することが大切です。
どんな介護食の種類があるか
介護食には、その形態によって「粗きざみ食」「きざみ食」「ペースト食」に分かれます。
粗きざみ食はおおよそ1㎝くらい、きざみ食はみじん切りの大きさが目安になります。
フードプロセッサーや包丁で食材ごとにきざんで盛り付けると、彩りもきれいに仕上がります。
ペースト食はハンドブレンダーを使うと簡単です。
温かいものにはお湯を、冷たいものには水を入れて、ブレンダーかけ、とろみ粉を入れます。
食材や温度によってとろみの付き方が変わってくるので注意が必要です。
家族と別メニューにしなくてもいいの?
イチから別のメニューを作るのは大変ですし、家族みんなで同じものを食べられた方が、手間もかからず楽しく食事ができますね。
普通の食事にひと手間加えることで、簡単に介護食を作ることが出来ます!
簡単に作るための3つの工夫ポイント
1.介護食に向いている食材を選ぶ
煮ると容易に柔らかくなるカブやタマネギ、絹ごし豆腐などは使いやすい。
反対に、海苔やわかめは喉に張り付きやすいので注意が必要です。
ひき肉のようにパサパサしたものはあんかけにすると、飲み込みやすくなりおススメです。
2.繊維のあるお肉や野菜は切込みを入れて噛みやすく
繊維を断ち切るように切込みを入れると食べやすくなります。
ペースト状にする時も、あらかじめたたいたり筋切りをしておくと良いです。
3.ハンドブレンダーやフードプロセッサー、圧力鍋など便利な調理器具を活用しましょう
調理済みのもをブレンダーやフードプロセッサーにかけると簡単に適切な食形態を作れます。
食材ごとに分けると彩りもきれいになります。
上手に「手抜き」して栄養バランスもとれた食事を
特別なものを作らなくてはいけないと思わずに、まずは普段の食事にひと工夫してみましょう。
様々な食品を、美味しく楽しく食べられる事が栄養状態を保つためにも大切です。市販の介護食やレトルト食品、缶詰も利用しながら、無理なく苦なくレシピの幅が広がっていくと良いですね!
メニューはご飯や麺などの主食・お肉や魚、大豆などの主菜・野菜や芋などの副菜・乳製品・果物を摂取できるようにバランスを考えましょう。
一日の中でバランスがとれていれば充分ですので、あまり神経質にならず、美味しく食べらるよう環境にも配慮しましょう。
簡単レシピ紹介1【麩レンチトースト】
■材料■
牛乳100ml
砂糖大さじ1
車麩4枚
溶き卵1個分
1.牛乳100mlを人肌に温めて砂糖(大さじ1)を溶かします。
2.車麩をバッドに並べ、1の牛乳に15分浸します。
3.麩が膨らみ、芯がない状態になったら溶き卵をからめます。
4.ホットプレートにサラダ油を敷き、3を並べ、両面きつね色になるまで焼きます。
5.押して液体が流れ出ないくらいになったら焼き上がりです!
6.お皿に盛り付け、お好みでバターやメープルシロップをかけてどうぞ。
簡単レシピ紹介2【スイートポテト】
■材料■
さつま芋400g
レモン汁少々
砂糖25g
生クリーム40cc
卵黄1個分
1.さつま芋は厚めに皮をむき、一口大に切り、鍋に入れます。
2.1にかぶるくらいの水とレモン汁を入れて、串が通るくらいにゆでます。
3.2を水切りして、マッシャーでつぶし、砂糖・生クリームを混ぜます。
4.3を俵型に整え、天板に並べ、表面に卵黄をハケで塗る。
5.200度に温めたオーブンで10分焼き、出来上がり!
☆ペースト食の方は3の時に生クリームを3倍量入れると滑らかになります。
☆余った皮できんぴらにしました。千切りにしてごま油でいため、みりんで味を調えます。
美味しい介護食を簡単に作るコツのまとめ
作る人も食べる人も楽しくなれることが大切です。
食べやすさはもちろん重要ですが、見た目や味付けも食欲に大きく影響します。
長い年月食べてきた「家庭の味」はなによりのごちそうではないでしょうか。
いつも通りの食卓にプラスの工夫で、家族みんなに優しい食事ができるといいですね。
疑問や不安なことがある時は、かかりつけの病院の医師や管理栄養士、言語聴覚士に相談できると安心です。
最近では地域で介護食教室なども開催されていますので、ぜひご活用ください!
この記事を書いた人
舟橋 七美
「ラッパーズ太田管理栄養士」
平成29年に管理栄養士資格を取得し、一般企業で栄養管理を経験後、平成31年にラッパーズ太田に入職。
ラッパーズ職員の中では最年少ですが、愛らしさと芯の強さを持ちあわせ入居者様からも信頼される存在です。