介護職の考える 認知症の理解と関わり

介護職の考える 認知症の理解と関わり

近い将来、高齢者の5人に1人は認知症になると言われています。

もはや身近になりつつある認知症ですが、どれだけ正しく理解しているでしょうか。
そもそも認知症ってどんな病気?予防するには?介護福祉士・認知症トレーナーさんから認知症の基礎知識を身につけましょう。

そもそも「認知症」ってどんな病気?

そもそも「認知症」ってどんな病気?

「認知症」とは、脳の活動低下や細胞の死滅によって起こる症状や状態の総称のことを言います。
記憶障害(物忘れ)や理解力・判断力の低下が起こり日常生活に支障が出る状態をいいます。

認知のうち、最も多いのが「アルツハイマー型認知症」で、約半数を占めています。
その他には「レビー小体型認知症」「脳血管性認知症」「前頭側頭型認知症」が次いで多くなっており、認知症全体の約90%がこの4種類の認知症となっています。残りの10%の中に、70~80種類位の認知症が存在します。

物忘れと認知症の違いは?

物忘れと認知症の違いは?

「物忘れ」がひどくなった…としても、何かのきっかけやヒントで思い出せたり、特に生活に支障がなければそれは老化による「物忘れ」と言えるでしょう。

反対に直近の出来事が覚えていられなかったり、判断力が低下したり、忘れたことを思い出せずに生活に支障が出てしまうと認知症となるのではないかと考えます。
しかし、認知症だからと言ってすべてのことを忘れてしまう事はありません。

進行を防ぐためには?

進行を防ぐためには?

何よりも避けなければならないのが「過度のストレス」や「必要のないストレス」です。

認知症によって起こる様々な症状や行動は、ご本人にとってもつらいものです。
周囲の人にとっては「問題な行動」であっても、ご本人にとっては理由や原因があります。
周囲の人の理解不足により、無理に行動を押さえつけたり、叱責することによって不安や不満が蓄積され、余計にひどくなってしまう可能性があります。

反対に無理なく過ごせる環境や周囲の人に受け入れられている安心感を得ることで、日常生活を落ち着いて過ごせるようになります。
ストレスは認知症の最大の敵ですので、心穏やかに日々を過ごせるよう配慮することが大切です。

私のような介護職は医療の専門職ではありません。「生活を支える」専門職だと考えますので、毎日の生活を安心して過ごせるよう常に意識して関わっています。

こんな場面、どう対応するのがベスト? (やってはいけない対応は?)

こんな場面、どう対応するのがベスト?

例)同じことを何度も何度も繰り返し話す

さっきご飯を食べたばかりなのに、

「ご飯まだ?」
「ずっと何も食べていない」

と繰り返し訪ねてきた時、どのように対応しますか?

つい、

「さっき食べたじゃない」
「何回同じこと聞くのよ?」

と言いたくなってしまうかもしれません。
でも、認知症の方はご飯を食べた事を覚えておくことができず、また さっきも同じ質問をしたことを覚えていないのです。

本当の事を教えたくなる、思い出してほしいと思う気持ちは一旦横に置き、ご本人の今の感情をまずは受け入れましょう。
否定したり叱ったりせず、「今、用意しているのでもう少し待っててくださいね」と優しく声をかけるとご本人は安心します。
一緒にお茶を飲んだり別の事に誘ってみるのも良いでしょう。

否定されれば、私たちも悲しくなったりつらい気持ちになったりしますよね。
認知症の方も同じだと思います。

早期発見のポイントは?

早期発見のポイントは?

普段、身近にいるご家族が「何か変だな?」と感じることがあったら今までよりもよく、様子をみてあげてください。
いつも一緒にいる方にしか分からない所があると思います。

今まで好きだったものやことに興味をしめさなくなったり怒りっぽくなったり…。慣れた道でも迷ったり。

その方の性格や生活をよく理解し、様子がおかしいな…と思うことがありましたらかかりつけ医にご相談ください。

また、認知症について学ぶことをおすすめします。
誰もがかかる可能性のある病気です。大切な人のためにも自分のためにも、正しい知識を身につけましょう!

予防するには?

予防するには?

健康であるための基本ではありますが、まずは生活習慣を整えましょう。

アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症は、脳血管障害や糖尿病といった生活習慣病との関連も強いので、それらを予防するためにもまずは生活習慣を見直しましょう。
持病のある方は、悪化しないように注意します。

塩分や脂質・糖質の取りすぎに注意をし、様々な食材をバランスよく食べるようにしましょう。
体に負担にならない程度の、適度な運動やストレッチも脳細胞に刺激を与えます。

また、たくさんの人と関りを持つことも大切です。
様々なことに興味を持ち、やったことのない新しいことにチャレンジしてみてください。
いろんな人と会い、おしゃべりすることは、相手の言葉や感情や意図を読み取り、適切な表現と言語を返すという、とても複雑な脳の働きを必要とします。
脳の機能をたくさん使うことによって、刺激を与えることになります。

好きなこと、楽しいこと、やってみたかったことなどありませんか?
若いころ夢中になった趣味や、やりたかったけど忙しくてできなかったこと、もう年だから・・・と諦めずに、どんなことでもまずは挑戦してやってみましょう!
積極的で好奇心旺盛な方は、いくつになってもキラキラとしていますよね。

いつまでも元気にいきいきと暮らしていけるように、今日から心がけましょう!

この記事を書いた人

星野 順一 ラッパーズ太田介護福祉士/きらめき認知症トレーナー

星野 順一
「ラッパーズ太田介護福祉士/きらめき認知症トレーナー」

介護福祉士として15年のキャリアを積み、その経験を生かして介護業界のコンサルティング会社に転職。職員研修や地域に向けての講演など幅広く活躍したのち、「現場から介護業界をよりよく変えたい」とラッパーズ太田に介護職員として入職。
また、きらめき認知症トレーナーとして、関東でも2名しかいない5starの最高位を取得。
認知症の理解を深める活動に注力しています。

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